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Innovation for NEW HOPE 〜学生目線で探る未来の医療〜

Innovation for NEW HOPE  〜学生目線で探る未来の医療〜

Innovation for NEW HOPEプロジェクトは「日本で最先端の治療法が1日も早く、継続して届く社会」を患者団体、医療関連の専門家など様々なステークホルダーと一緒に実現するために立ち上がりました。

プロジェクト始動にあたって開催された第1回イベントでは、発起人6名と社会課題に関心のある大学生8名(同志社大学・名城大学有志)が、『最先端の治療法(細胞医療遺伝子治療)が描く医療の未来』をテーマに、ディスカッションしました。本記事では、細胞医療遺伝子治療に関する学生からの4つの質問に対する発起人の先生からの回答をご紹介し、学生の視点で未来の医療を探ります。

※ディスカッションイベントの様子はこちらの記事で紹介しているので、ぜひ合わせてお読みください。

1.遺伝子治療薬の仕組みを教えてください。


 

遺伝子治療薬の仕組みを理解するために、まずはセントラルドグマという概念について紹介します。

セントラルドグマとは、DNA→mRNA→タンパク質の順番で遺伝情報が伝達されるという分子生物学の概念です。私たちは両親から半分ずつ遺伝情報をもらうのですが、それはDNAとして私たちの細胞の中に存在しています。
「転写」という作業を通してDNAからmRNAを作り、その後「翻訳」という作業を通してタンパク質を作る、という流れでDNAからタンパク質は作られます。
これまで私たちが服用してきた薬はこのタンパク質に作用するものがほとんどなのですが、DNAに働きかけるのが「遺伝子治療薬」です。

遺伝子治療とは、私たちの体の中で重要な役割を果たす遺伝子が先天的に存在しなかったり正常に働かなかったりする場合に、体内で機能を果たす遺伝子をつくれるようにすることを目的としています。 

2.遺伝子治療薬はゲノム編集とは異なりますか。

私たちが持つ遺伝子に働きかけるのが遺伝子治療で、現在ではほとんどが先天的な遺伝子の異常に対し、それを補充する治療が主流となっています。

ゲノム( DNAのすべての遺伝情報)を構成するDNAを切断して遺伝子情報を書き換える技術であるゲノム編集も広い意味で遺伝子治療に含まれると言えるでしょう。

3.遺伝子治療で投与した遺伝子が原因で他の病気を将来的に引き起こす可能性はありますか。

その可能性はあります。
導入した遺伝子を常に発現させる、もしくは常に抑えることになるため、その病気に対しては効果的であっても、それが原因でほかの病気を将来的に引き起こす可能性がないわけではありません。

4. 体内の免疫系が投与された遺伝子を異物と認識するのでしょうか。

遺伝子治療では、治療用の遺伝子を細胞内に送る「運び屋」としてウイルスの外殻の部分(エンベロープ)が用いられることがあります。このウイルスのエンベロープ自体には増殖力はありませんが、身体の免疫反応により、投与されたウイルスを異物として認識するため、事前にステロイド等の免疫抑制剤を投与してから治療をおこないます

ウイルスを「運び屋」とした遺伝子治療では通常投与は1回で、長期間継続して投与するわけではありませんが、単回投与の場合でも患者さんの安全性は慎重に観察しています。

5.その他の質問

他にも学生からは下記のような質問がありました。

・新薬開発の上での優先順位はありますか?
・現在の医療を知るために初心者でもわかりやすい情報サイトはありますか?
・頼れる人が身近にいない孤独の人が難病になってしまったときに充分なサポートを受けることができますか?
・最先端の治療=高額であるというイメージや意識を払拭することが大切だと思うのですが、そのために行われている取り組みはありますか?

こちらの質問に対する回答も別記事でご紹介していきたいと思います。

6.まとめ

本記事では、最先端の治療に対する学生からの質問に対する発起人からの解説を紹介しました。

イベントの終了後には、発起人から「学生からの新鮮な意見が聞けた。若いのだから、自由な発想で考えていってほしい」「若い世代が医療に関心を持っているのは、我々にとって希望。これからも医療について関心を持ち続けてほしい」などのコメントもあり、学生だけでなく発起人6名にとっても新たな視点を取り込む時間となりました。

本プロジェクトでは発起人を中心に学生を含めたマルチステークホルダーと一緒に「日本で最先端の治療法(細胞医療、遺伝子治療)が1日も早く、継続して届く社会」実現に向け活動を続けてまいります。 

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