2023.12.18 関連コンテンツ

くすりについて～医薬品の分類と最先端の治療法～

医薬品は、私たちの健康にとって欠かせない役割を果たしていますが、医薬品にはいくつかの分類方法があります。
この記事では、医薬品がどのように分類されるかを解説します。
さらに、最先端治療法のひとつである細胞医療や遺伝子治療などの新しい基盤技術や治療手段（モダリティ）にも焦点を当て、これらがどのようにして患者さんの生活を変え、医療の将来を形作っているのかを探ります。

01.医薬品の分類

まずは、医薬品の分類についてご説明しましょう。

01-1.OTC医薬品について

少し調子が悪い時は、病院に行かずにドラッグストアや薬局で購入した薬を飲んで様子をみるという方も多いのではないでしょうか。
このように医師の処方箋がなくても、ドラッグストアや薬局で購入できる医薬品を「OTC医薬品」といいます。OTCとはOver The Counterの頭文字をとったもので、カウンター越しに販売している形式に由来しています。
また、上記で述べた「自分の健康には自分で責任をもち、少しの体調不良には自分で手当を行う」という行動は「セルフメディケーション」と呼ばれます。
セルフメディケーションは医療資源の効率化に寄与します。病院やクリニックの混雑緩和や、軽度な症状での医療機関への依存を減らすことで、より重篤な病状を抱える患者さんに対して医療資源を集中させることが可能になるのです。

このように、OTC医薬品の適切な利用は、個人の健康管理だけでなく、社会全体の医療システムにおいても重要な役割を果たしています。

01-2.医療用医薬品について

体調が悪く、医師に診てもらうために病院に行くと、薬を処方されることが多いと思います。このように病院や診療所での医師の処方箋に基づいて薬剤師が調剤した薬を「医療用医薬品」といいます。

さらに、医療用医薬品は「新薬」と「ジェネリック」に分類されます。

新薬とは、新しい有効成分・使用方法として世の中で初めて使用できる医療用医薬品で、「先発医薬品」とも呼ばれます。新薬の研究や開発には多額の費用と長い年月がかかるため、開発した企業は特許を取得して特許期間中は独占的に販売します。

一方ジェネリックは、新薬の特許が切れた後に、別の会社が同じ有効成分を使用して開発・販売する医療用医薬品で、「後発医薬品」とも呼ばれます。ジェネリックは、新薬と同等の効き目があると国に認められた薬ですが、新薬に比べ開発費用がかからないため一般的に新薬より安価に提供されます。

02.最先端の治療法とは

ここまで医薬品の分類をみてきましたが、医薬品は上記の画像のように「モダリティ」といった基盤技術や治療手段の種別によっても分類されます。
また、新たなモダリティとして「細胞医療」や「遺伝子治療」という治療法もあります。
これらは病気によって起きている症状を和らげたり、なくしたりする治療法である対症療法ではなく、病気そのものや病気の原因に働きかける治療法に分類されます。

ここからは新たな治療法である「細胞医療」と「遺伝子治療」について説明します。

02-1.細胞医療について

細胞医療は、培養や加工により作製した細胞を用いて、損なわれた身体の機能の回復や病気の状態の改善を目指す治療法です。
この治療では、特別な細胞（多能性幹細胞や体性幹細胞）を使います。これらの細胞を特定の目的をもった細胞に変化（分化・増殖）させ、患者さんの身体に移植します。
例えば、眼の細胞がダメージを受けて失明に至るような病気では、この特別な細胞を眼の細胞に変化させ、それを移植して視力を改善する治療法の研究が進められています。

細胞医療は、病気の根本的な原因に直接働きかけるため、一回から数回の治療で病気の症状を大きく改善する可能性があるのです。