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最先端治療とデジタルの力で医療の世界はどう変わるのか

最先端治療とデジタルの力で医療の世界はどう変わるのか

近年、最先端治療の登場とデジタルの力で、医療分野は急速な進歩を遂げています。その進歩はこれまで治療法がなかった疾患などにもアプローチできる可能性を秘めており、注目度が高まっています。

“Innovation for NEW HOPE”は、日本で最先端の治療法が1日でも早く、継続して届く社会の実現」を目指すプロジェクトです。
Innovation for NEW HOPEでは今回、ビジネス映像メディアPIVOTとタイアップ番組「& questions」を制作し、「最先端治療とデジタルの力で医療の世界がどう変わるのか」というテーマで専門家を交えた対談を行いました。

対談は5つのテーマで行われましたが、今回はInnovatio for NEW HOPEでも取り組んでいる「細胞医療遺伝子治療最前線」および「日本の医療の進む道」の2つのテーマの内容を中心にご紹介します。

※「& questions」動画全編はこちらからご覧いただけます。

01.ゲスト紹介

森尾友宏さん(東京医科歯科大学 副学長)



小児科学、遺伝性免疫疾患、細胞・遺伝子治療を専門としており、
現在では、

  • 日本小児科学会総会議長
  • 日本免疫不全・自己炎症学会理事長
  • 日本臨床免疫学会副理事長
  • 日本再生医療学会顧問

などを務めています。また、Innovation for NEW HOPEプロジェクトの発起人のおひとりでもあります。

山海嘉之さん(筑波大学教授)



内閣府SIPプログラムディレクター、CYBERDYNE株式会社CEOを兼任しており、

  • 紫綬褒章
  • 日本ロボット学会フェロー
  • 計測自動制御学会フェロー
  • 世界テクノロジー賞
  • Edison Award
  • 内閣総理大臣賞

など多数の受賞歴を持っています。

※MC:竹下隆一郎(PIVOTチーフ・グローバルエディター)

02.細胞医療・遺伝子治療最前線

細胞医療・遺伝子治療について、森尾さんにお伺いしました。

森尾さん:
遺伝子治療は導入がだいぶ進んできています。
脊髄性筋委縮症など、これまでは治療法がなくて患者さんが寝たきりになってしまうような病気でも、遺伝子治療が効く場合、普通に近い生活ができるようになっています。 



竹下さん:
1番の課題はなんでしょうか?

森尾さん:
課題として…。遺伝子を補充する遺伝子治療だと、遺伝子の運び屋(ベクター)が必要になるため、この運び屋を製造するための工場が必要なのですが、日本ではこの工場は圧倒的に少ないのが現状です。
このベクター製造を増やしていかないと、日本での遺伝子治療は進んでいかないのです。 

また、細胞治療について話すと、日本はiPS細胞など細胞医療の分野が強くて、現在ではパーキンソン病や、脊髄損傷、脳梗塞、網膜色素変性症などの臨床研究が進められています。
しかし、細胞の培養は人の手作業に依存しているため、ここをしっかりプロトコル化(標準化)しないといけないという課題はあります。

山海さん:
根本的に治療していく方法として、このような遺伝子レベルでの取り組みは非常に重要です。さらに次の段階の話をすると、治療で症状の進行が抑えられたときに、失われた機能をどう戻していくのかが重要になります。

従来は再生医療によって機能を失った細胞を補填することで、正常な細胞を定着させる治療が行われてきましたが、最近では、これと並行して、神経・筋系の機能再生や機能改善を行うサイバニクス治療も注目を集めています。

つまり、「治療で細胞を再生させる」「機能を再生させる」の2つをセットで考えることが大切です。
今回、我々2人(森尾さんと山海さん)が呼ばれていることは、そういう点でも意味があります。

※サイバニクスとは、再生医療だけでなく、脳科学や神経科学、ロボット工学、AI、システム統合技術、心理学、法、倫理、経営などの異分野を融合複合した学術領域。 




ここでは他にも、「再生医療の研究や臨床応用が進む疾患領域」についての森尾さんの解説をもとに対談が行われ、失った機能を回復させる治療や研究について、それぞれの立場から現在取り組んでいることや最新の技術についても詳しくお話いただきました。

03.日本の医療の進む道

現在の日本には、「イノベーションの創出が難しい」、「費用対効果の高い医療を届けづらい」といった課題がありますが、対談の最後には、これらの課題について「解決するために何をすべきか」をお話しいただきました。 



森尾さん:
(細胞医療や遺伝子治療について)皆さんが最初に考えるのは、「安全かどうか」。次が、「本当に効くのか」ということです。
私は「再生医療がどれだけ効果があるのかを明確に示すこと」が重要と考えています。

そのためには、医療者と患者さんの意思疎通が大切です。お互いに本音で語り合い、理解し合わないといけません。
今回のInnovation for NEW HOPEプロジェクトでは、そのための良い場面を提供できるのではないかと考えています。
また、若い世代の方が問題意識を持って、「どのような医療・社会になってほしいかを考えることが重要」だと思います。 

竹下さん:
確かに、これからの世代の方はロボットやAIといった最先端の技術などにピンとくるイメージがあるので、そういう方たちと一緒に考えないといけないですよね。

山海さん:
日常から若い方を巻き込んで話をすることは重要です。

それともう1つは、勢いのある若手が潰れずにある程度年齢を重ねても挑戦し続けることができるような社会をつくることかと思います。
例えばchatGPTもそうですけど、作っている方々は決して若手ではないですよね。

私は、若い時代に何かを描いた方々が、それを実現できる状況になって社会を変えていっているのだと思います。なので、何かを成し遂げたい若い世代の方々をサポートしていけるようにすることが重要だと考えています。

04.まとめ                                          

この記事では、「最先端治療とデジタルの力で医療の世界がどう変わるのか」というテーマで行われた対談の一部を紹介しました。

動画内では、記事で取り上げたテーマ以外にも、
・「ビジネスパーソンを襲う病気とは?」では、PIVOT読者層に多いビジネスパーソンにも身近な病気への最新の治療について
・「最先端技術「装着型サイボーグ」が治療を変える」では、山海先生が開発した世界初の装着型サイボーグ「HAL®(Hybrid Assistive Limb®)」について
・「グローバル事例と日本での実現」では、日本と海外の差について
などに関しても、対談が行われています。

本記事でご紹介しきれていなお話が多くありますので、ぜひ動画本編も合わせてご覧ください。 

Innovation for NEW HOPEプロジェクトは、「日本で最先端の治療法が1日でも早く、継続して届く社会」の実現を目指し最先端の治療法に関わる情報を発信していきます。 

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