武藤香織さん~Innovation for NEW HOPEへの想い~
日本で最先端の治療法が一日でも早く、継続して届く社会の実現のために、発足したこのInnovation for NEW HOPEプロジェクト。6名の発起人に、現在の取り組まれていることと、それに至った背景についてお伺いするとともに、このプロジェクトにかける想いをお話いただきました。
今回は、東京大学医科学研究所 公共政策研究分野教授の武藤香織さんです。
インタビュー実施日:2024年3月14日
Q. これまでの経歴と、現在取り組まれていることについてご紹介ください。
大学生の時には全く医療と縁がない学生生活で、ずっとバンド活動をしていました。プロのミュージシャンになって、それで食べていきたいと思っていましたが、大学3年生の時に誤診にあって、そこから医療の倫理にすごく関心を持つようになりました。今は最先端の再生医療・細胞治療・遺伝子治療・ゲノム解析に関わる研究所で働いていて、研究者の人たちが抱える倫理的な問題の相談に乗ったり、社会の人たちに新しい医療の開発を理解してもらうためにはどうしたらよいか検討する研究をしています。
Q. 今の医療課題についてどのように思われていますか?
今の医療の課題は、私が学生の時とはだいぶ変わってきていると思います。私が医療の倫理に関心を持った時には、医師が自分の病気のことを全然説明してくれなかったり、相談に行く先が他になかったりする時代だったのですが、今はそういうことはなくなっており、医師と患者の関係がより対等になってきたと思います。
一方で、まだ光が当たっていないと思うのが、新しい医療を開発する時に、多くの患者さんや健康な人が、その新しい医療の臨床試験や治験に協力していることです。その人たちの貢献が一般の人にほとんど見えないまま新しい医療が欲しいとただ言っているだけという状況が、気になっています。陰で支えている人たちの存在や開発のプロセスそのものが、一般の人たちにもっと理解されるようになるといいなと思っています。
そういう意味でこのプロジェクトでは、細胞医療や遺伝子治療などを軸にしながら、今まで医療と直接接点がなかった若い人たちと一緒に、どのように日本の医療を良くしていけるのかを一から考えるチャンスを与えてもらっているのがすごくよいところで、私も勉強になっています。
Q. 医療に関するマルチステークホルダーが集まって議論をする場であるInnovation for NEW HOPEが、今後どのような場になっていくことを期待しますか?
今は限られたメンバーで、お互いの多様性とか背景を尊重しながらいろいろなディスカッションができる関係性になりつつあるなと思いますが、その輪をそれぞれが自分の身近にあるコミュニティに広げながら、少しずつ大きくしていけたら素晴らしいと思います。
Q. Innovation for NEW HOPEに参加していただく、学生や若い世代の人たちへのメッセージをお願いします。
Innovation for NEW HOPEの企画に参加いただいたきっかけは、人によっても様々かと思いますが、医療を自分のこと・自分の家族のことと捉えたり、いろいろな創造力を持った人たちに企画に関わってほしいと思っています。
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