小坂氏の取り組み紹介 ~市民公開セミナー「先天性大脳白質形成不全症の克服に向けて」~

Innovation for NEW HOPEプロジェクトメンバーのお一人である、小坂仁氏(自治医科大学)が市民公開セミナー「先天性大脳白質形成不全症の克服に向けて」(11月11日開催)で講演されました。この記事では、セミナーに参加したInnovation for NEW HOPEプロジェクト事務局から当日の様子をご紹介します。

 本セミナーは、先天性大脳白質形成不全症家族会との共同で、小坂氏をはじめ数多くの協力医師の他、多くのボランティアの協力を得て運営されています。第21回目となる今回は日本科学未来館で開催されました。


01. 講演「先天性大脳白質形成不全症:遺伝性疾患医療の新時代」

冒頭、宇宙飛行士・山崎直子氏のオンラインでのご挨拶の後、小坂氏が『先天性大脳白質形成不全症:遺伝性疾患医療の新時代』という演題で講演しました。先天性大脳白質形成不全症をはじめとする小児の遺伝性疾患の診断・治療の変遷や、遺伝子治療の基礎、実際の治療効果、今後の展望、そして患者会・医師・研究者・企業連携の重要性についてわかりやすく丁寧にお話されました。 

02. ボランティアによる「みまもり隊」

 本セミナーでは、学生を中心とするボランティアの方(みまもり隊)が、患者さんやその兄弟と一緒に一日遊ぶことで、親御さんがセミナーに集中できるように配慮されているのが特徴のひとつになっています。当日も講演と並行して、先天性大脳白質形成不全症のお子さんとそのご兄弟がみまもり隊と一緒に日本科学未来館を見学しました。この取り組みは、患者さんの兄弟にとっても、自分たちが主役になれる貴重な時間になっているそうです。

03. 診察「よろず相談会」

 もうひとつの特徴は、講演前に先天性大脳白質形成不全症家族会の患者さんの診察を行っていることです。小坂氏は会議室の一角にヨガマットを敷いて、その上で横になる小児の患者さんと同じ目線で向かい合って声をかけ、15-20分ほどの時間をかけてじっくり丁寧に話を聴いていました。患者さんやご家族に寄り添う小坂氏の姿がとても印象に残りました。

04. 「日本で最先端の治療法が1日も早く、継続して届く社会」の実現に向けて

 講演を聴いたご家族から、日本では行われていない先天性大脳白質形成不全症の新薬の治験について、「海外での治験に参加するにはどうしたらいいのでしょうか」という質問があり、費用やサポートする家族の負担の面から今は「難しい」と答えざるを得ない現実を目のあたりにしました。「日本で最先端の治療法が1日も早く、継続して届く社会」の実現を目指す本プロジェクトの活動を通じて、日本での新薬開発が遅滞なく行われ、こうした課題が解決に向かうよう、貢献していきたいと改めて感じました。

今後もこのような形でメンバーの皆さんの取り組みを紹介していきたいと思います。
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※先天性大脳白質形成不全症リサーチ・ネットワーク、「遺伝性白質疾患・知的障害をきたす疾患の診断・治療・研究システム構築」研究班、「未分類の新規先天性大脳白質形成不全症の臨床遺伝疫学情報の収集によるエビデンス創出研究」研究班が主催、先天性大脳白質形成不全症家族会の方が参加する形で2009年から開催されています。